警察立会いの下での片づけと引越しのお手伝い|家財不用品回収処分|栃木

DV被害|女性|警察立会い|ドメスティックバイオレンス|家庭内暴力|暴力夫

※この記事は、ご依頼者様の個人情報保護および安全確保のため、場所・時期・人物設定などに一部フェイクを加えております。しかし、内容の約90%は実際にあった出来事をもとに執筆しております。

 

こんにちは、日本整理の高橋です。

 

私たちは普段、不用品回収や遺品整理、生前整理、引越しのお手伝いなどを行っていますが、ごく稀に一般の方にはあまり知られていない特殊なご依頼をいただくことがあります。

 

 

今回ご紹介するのは、警察立会いのもとで行った片づけと引越しのお手伝いです。

 

一本の電話から始まったご依頼

ある日、栃木県内の福祉関係の行政機関から一本の電話が入りました。

 

担当者の方からは、

 

「事情があり詳しいことはまだお話しできませんが、とある女性宅の片づけと荷物の梱包をお願いできませんか。」という内容でした。

 

このような案件は年に1~2回ほどあります。

 

ご依頼元は市役所や福祉関係の施設であることがほとんどです。

 

担当者様からは住所も女性のお名前もお伝えできないと伝えられる。

 

これまで何度も同様の案件を経験しているため、私たちもある程度事情を察することができます。

 

おそらくDV(ドメスティック・バイオレンス)の被害者保護に関する案件だろう、と。

 

後日、担当者から概要だけ説明を受けました。

 

 

ご依頼者様は50代の女性。

再婚相手から長期間にわたり暴力を受け、行政と警察の協力によってシェルターへ緊急保護されたとのことでした。

 

避難した時は逃げることが最優先だったため、着の身着のままで家を出てきたそうです。

 

生活用品も衣類も、大切な思い出の品もすべて自宅に残されたままでした。

 

現在も女性が暮らしていたアパートには家具や家電、生活用品がそのまま残っています。

 

今回のご依頼は、

 

・新居へ持っていく荷物と処分する荷物を仕分けること

・引越しする荷物を梱包すること

 

この2点でした。

 

荷物の運搬は女性の娘さん夫婦が担当されるため、私たちは梱包と仕分け作業を担当します。

 

ただし、その部屋は女性と加害者の男性が暮らしていた住まい。

 

男性が突然戻ってくる可能性も否定できないため、警察立会いのもとで作業を行ってほしいという依頼でした。

 

依頼者様を守るため、行政からは住所も氏名も教えてもらえません。

 

これは毎回同じです。

 

本当に作業直前になってようやく必要最低限の情報だけが共有されます。

 

 

前日にようやく現場が判明

お願いされた作業日の前日になり、ようやく現場住所の連絡が入りました。

 

栃木県内にあるマンションです。

 

それでも女性のお名前は最後まで伝えられませんでした。

 

「ここまで徹底するんだ。」

 

何度経験しても、被害者保護の重要性を改めて感じます。

 

作業当日の緊張感

当日、指定されたマンションへ向かうと、すぐに異変に気付きました。

 

マンションの前には警察車両が何台も停まっています。

 

普段の遺品整理や引越し現場とはまったく違う空気が流れていました。

 

トラックをどこへ停めればいいのか迷っていると、一人の警察官が近づいてきました。

 

「日本整理さんですか?こちらへ駐車してください。」

 

案内された場所は駐車禁止エリアでしたが、警察の指示です。

 

マンション入口の目の前で、荷物の搬出には最適な場所でした。

 

スタッフ全員が揃い、作業の準備を始めます。

 

その後、警察官に案内され、高層階にある部屋へ向かいました。

 

部屋の前には私服警官が2名。

 

さらに室内には数名の刑事さんが待機しているとのことでした。

 

私たちは部屋へ入ることなく、扉の前で約30分待機します。

 

やがて刑事さんたちが部屋から出てきて、

 

「どうぞ。」

 

と案内されました。

 

そこで初めて、ご依頼者様とお会いしました。

 

とても物静かで控えめな女性でした。

 

隣には娘さんと、そのご主人もいらっしゃいました。

 

警察の方からは、

 「表の警察車両は間もなく撤収しますが、私服警官が周辺で警戒を続けていますので安心してください。」との説明を受け、私たちは作業を開始しました。

 

 

作業は驚くほどスムーズに進んだ

事前に必要な物と処分する物がしっかり決められていたため、作業自体は非常にスムーズでした。

 

今回は事前に現地確認ができない案件だったため、

 

「トラック3台分くらい」

 

という情報だけを頼りに準備していました。

 

万が一荷物が多かった場合に対応できるよう、トラック4台で現場へ向かいました。

 

結果的には2.5台分ほど。

 

想定より少なく、胸をなで下ろしました。

 

スタッフ同士で連携しながら梱包を進め、ご家族も必要な物を一つひとつ確認していきます。

 

アルバムや思い出の品、普段使っていた食器、衣類、小さな置物。

 

一つひとつに生活の跡があり、「この家で暮らしていた時間」が伝わってきました。

 

しかし、その思い出の中には、きっと楽しい記憶だけではなかったのでしょう。

 

女性は終始落ち着いた様子でしたが、大切な品物を手に取るたび、少しだけ表情が曇る場面もありました。

 

私たちは必要以上に話しかけることはせず、できるだけ安心して作業に集中していただけるよう心掛けました。

 

数時間後、すべての梱包が無事に完了。

 

娘さんのご主人が荷物を積み込み、新しい生活が始まる住まいへ向かって出発されました。

 

最後に女性が私たちへ深々と頭を下げ、

 

「ありがとうございました。」

 

と、小さな声で言ってくださいました。

 

その一言が、とても印象に残っています。

 

 

私たちの仕事は「片づけ」だけではありません

私たちは日々、さまざまな片づけや引越しのお手伝いをしています。

 

その中には今回のように、行政や警察と連携しながら進める特殊な案件もあります。

 

もちろん、このようなご依頼が多いことは決して良いことではありません。

 

ですが、もし誰かが新しい人生を歩み出そうとするとき、その第一歩を少しでも支えることができるのであれば、私たちは全力でお手伝いしたいと考えています。

 

片づけとは、単に物を処分する仕事ではありません。

 

人生を整理し、新しい生活へ踏み出すお手伝いをする仕事でもあります。

 

これからも、ご依頼者様一人ひとりの事情に寄り添いながら、安心して任せていただける存在であり続けたいと思います。

 

 

文  (株)日本整理 高橋啓介

 

 

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